ひとりひとりにあわせた椅子

肢体不自由者のための椅子たちを集めた展覧会を企画

1998年 日本インテリアデザイナー協会 JID賞/プロダクトデザイ ン部門奨励賞 受賞

東京都新宿にあるOZONEというインテリアショップ中心の大きなビルがある。東京都庁と同じデザインなのですぐわかる。

1997年、そのビルにあるOZONEのギャラリーで肢体不自由者のための椅子たちを集めた展覧会を開いた。たためる椅子と同じ時期になるが、1987年ごろ妻が担当していた障がい者の姿勢や生活を補助する仕事をバトンタッチし、わけもわからず受け継いで10年ほどたったので、このようなデザインの仕事があることを世に周知するのが目的で、たためる椅子smallと同じに翌年(社)日本インテリアデザイナー協会から奨励賞を受賞した。脳性まひ、筋ジストロフィー、先天性、後天性などケースはいろいろなので必ずドクター、理学療法士、作業療法士、保護者とのコミュニケーションをとりながら仮合わせを繰り返し完成させる。

完成してもサポートは継続する

うまくいって逆に合わなくなった事例もある。困難ではあるが仕事の喜び、デザインする喜びがある。大学に勤め始めて、この仕事から遠ざかるを得なかったが、特別支援学校用机いすの開発や高齢者のための歩行補助車の開発の基礎となった。

大学を退官してから、重度の方の車いす(寝た姿勢に近いストレッチャータイプ)の注文があり、アルミ合金部分は車いすメーカーに図面で指示し姿勢保持部分は工房でつくりほぼ1年かけて完成させた。久々の姿勢保持の仕事、難易度の高い保護者の方の要望をほぼ取り入れることができたが一つミスをした。ワンボックスの福祉車両の天井高を確認しなかったため、いざ車に乗せると本人と車の天井が近すぎ、介護がしずらい。これは自分の確認ミスであり、アルミフレームをメーカーに戻し数センチ低くしてもらった。また、3ヶ月待ってもらうこととなった。大反省である。1年後、もう一台作ってほしいと連絡があった。

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